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Q1.「戦後二番目の景気拡大期」などと言われている今が、増税のチャンスではないのか。
Q2. 政府は「軽減税率」とかいろいろ対策するから、増税しても大丈夫じゃない?
Q3.2014年に増税したけど、今でも成長してる。やっぱり増税の影響は軽いんじゃないの?
Q4.「成長させて税金増やす」って言うけど、これから人口も減るし、増えなかったらどうするの。無責任じゃない!?
Q5.今、増税して少しでも借金を減らしておかないと、将来にツケを残すんじゃないの?
Q6.福祉とか社会保障のためには、やっぱ、消費増税が必要なんじゃない?
Q7.欧州では20%以上の国も多いんだから、10%にするくらい当たり前じゃない?
Q8.どっかの学者が、「消費増税で将来世代の不安が無くなって、かえって消費が増える!」って言ってたよ。そういうこともあるんじゃない?
Q9.「増税反対」って言ってる人たちって、どうせ「民衆の受け狙い」で言ってるだけじゃないの?
Q10.新聞やテレビで、学者や専門家が消費増税すべきだって言ってるけど、彼ら、嘘ついてるの?
Q1.「戦後二番目の景気拡大期」などと言われている今が、増税のチャンスではないのか。
A. 今の増税は最悪のタイミングです。
「戦後二番目の景気拡大期」と言われているのは、
Q2. 政府は「軽減税率」とかいろいろ対策するから、増税しても大丈夫じゃない?
A. 全く大丈夫ではありません。最悪の帰結をもたらします。
そもそも軽減税率が適用されるのはごく一部。
ポイント還元なども検討されていますが、それも、ごく一部。
その被害を回避することはできます。
Q3.2014年に増税したけど、今でも成長してる。やっぱり増税の影響は軽いんじゃないの?
A.全く、軽くありません。
そもそも、14年以後「成長している」といっても
図1 輸出額(実質値)の推移
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Q4.「成長させて税金増やす」って言うけど、これから人口も減るし、増えなかったらどうするの。無責任じゃない!?
A.断じて無責任ではありません。
図2をご覧ください。この図は、過去20年間の経済成長率のランキングです。
成長率は、実にマイナス20%。
ちなみに、本誌に寄稿されたほとんど全ての経済学者、
A.消費増税すると、かえって「ツケ」が拡大しまいます。
「消費増税」をすると、景気が悪くなり、税収それ自体が減ってしまいます。
【藤井聡】<拡散希望>Q&A「増税やむなし」と言われたら、こう言い返せ―10の想定問答(前編)
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Q6.福祉とか社会保障のためには、やっぱ、消費増税が必要なんじゃない?
A.
社会保障のために、消費増税は、必要ありません。
むしろ、消費増税をすれば、
安定的な社会保障が不可能になってしまいます。
高齢化社会を迎えるわが国で、
「社会保障」をどうしていくのは、
とても大切な議論です。
でもだからといって、
「消費増税すべきだ!」と考えるのは、
あまりにも短絡的。
というよりもむしろ、
「愚かの極み」と言わざるを得ません。
第一に、先に指摘したように性急な消費増税で、
かえって税収が減り、
将来の社会保障が難しくなってしまいます。
あるいは、経済評論家の島倉原氏が指摘するように、
「生活に困窮している人」それ自身を減らすのが
社会保障政策の目的なのですから、
格差と貧困を拡大する消費増税など
あり得ない選択だともいえます。
第二に、本誌の座談会の中で
元財務官僚で経済学者の高橋洋一教授が指摘するように
「社会保障」のための財源に「消費税」を当てるのは、
「世界の非常識」。
おおよそ社会保障制度は、
飯田泰之准教授が指摘しているように
「世代で閉じた社会保障制度」にしておかなければ、
その持続性が保てません。
にも関わらず長期的な展望も無しに、
目先の財源確保で消費増税をしてしまえば、
経済が不安定化し、将来世代の社会保障財源が、
ますます無くなっていきます。
だから財源確保のためには、
(例えば、島倉氏が主張するように)
「成長」こそが必要なのであり、
(例えば、エコノミストの会田氏や岩田氏が論じたように)
大局的視点の下で「国債」を発行しつつ、
(例えば、高橋氏が指摘したように)
保険制度を見直すことが必要です。
そして、消費増税の代わりに、
例えば塚崎公義教授が指摘する所得税増税や、
岩田教授が指摘した相続税の見直しなどを行えばよいのです。
第三に、消費増税が行われてきた背景には、
法人税減税が繰り返されてきたという
歴史的背景があります。例えば、
経済学者の菊池英博教授が指摘しているように、
法人税が縮小してきた減税分はおおよそ、
消費税増税による増収分とほぼ同水準。
つまり
「法人税減税のために空いた穴埋めのために、
消費税が増税されてきた」
のです。だから、このバランスを見直し、
消費税のかわりに法人税を
増税すべきであるという議論は当然成立します。
このように福祉や社会保障を充実したいなら、
成長すべきであり、
一時的な国債発行の可能性も見据えながら
社会保障制度それ自身をみなすべきであり、
税制そのものを見直すべきなのです。
にも拘わらず、
目先の財源確保のために焦って消費増税をしてしまえば、
成長できず、かえって日本人の社会保障環境は
「最悪」なものとなってしまいます。
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Q7.欧州では20%以上の国も多いんだから、10%にするくらい当たり前じゃない?
A.
当たり前でも何でもありません。
そもそも日本は、「税率」それ自身が低くても、
総税収に占める消費税の割合は諸外国よりも
「高い」のです。
だからこれ以上税率を上げれば、
「世界で最も消費税に依存する国家」
になってしまいます。
経済学者の菊池英博先生の本誌記事でも紹介されている通り、
額面上の「税率」は、イギリスやドイツ、
イタリア、スウェーデンの方が圧倒的に高く、
20%前後〜25%という水準で、
仮に日本が10%にしたとしても、
その半分前後の税率しかない、と言うことができます。
しかし、「総税収に対する消費税収の割合」に着目すると、
日本が10%に増税すれば、
それらの国々よりも高い水準になってしまいます。
最も額面上の税率が高いスウェーデンでも、
「総税収に対する消費税収の割合」は
18・5%に過ぎない一方で、
日本は37%にまで達してしまいます。
こうなっている理由は、
日本だけがデフレ不況なので
所得税や法人税が少ないという事や、
諸外国では食料品などについて
消費税率「0%」という大胆な軽減税率が
適用されている事などが挙げられますが、
いずれにしてもこの様な状況で10%増税をすれば、
日本だけが異様に消費税収にだけ依存する国家になってしまいます。
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Q8.どっかの学者が、「消費増税で将来世代の不安が無くなって、かえって消費が増える!」って言ってたよ。そういうこともあるんじゃない?
A.
あり得ません。
むしろ増税すれば、
将来が不安定になり、デフレが深刻化し、
人々はますます不安が大きくなって、
消費を減らしてしまいます。
確かに、私たちは将来不安があれば、
消費を控える効果はあります。
しかし、本誌で岩田規久男教授が
経済学的な視点から指摘したように、
「日本の財政状況を心配して、
消費を抑制している人は、
いたとしても、きわめてまれな人」
です。ですから、
「消費税によって、財政が改善するから、
皆が安心して消費を増やす」
という現象は現実的にはあり得ません。
むしろ私たちが将来に対して
不安な気持ちを持っているのは、「デフレ不況」
(消費者にとっての「所得」が下落し続けていく状況)
が続いているから。
だからデフレ不況が続く限り、
自分たちの将来の所得は上がらないだろうし、
それ以前に失業することすらあるかも知れない———
という不安におびえ続けるのです。
それどころか、
消費増税はデフレを深刻化させますから、
ますます不安を高め、
消費はさらに縮小していくことでしょう。
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Q9.「増税反対」って言ってる人たちって、どうせ「民衆の受け狙い」で言ってるだけじゃないの?
A.
あり得ません。
日本の経済や財政のために必要な
「増税凍結」という方針が、
たまたま、
民衆に支持されているにすぎません。
確かに、民衆は
(例えば、評論家の小浜逸郎氏が論じているように)
「増税反対」を支持するであろうと予期されます。
そして、「民衆が支持するものが間違っている」
ということも当然あり得ます。
そして、中には「民衆の受け狙い」で
増税反対を主張する政治家もいることでしょう。
しかしだからといって、
「民衆が支持するものは、『常に』間違っている」
とは当然言えません。
そもそも「民衆が支持するものは、『常に』間違っている」
というのなら、
一刻も早く民主主義を辞めるべきだ、
ということになりますよね。
そういう議論はさておき、そもそも、
それぞれの政策が正しいかどうかは
民衆人気とは無関係に
客観的な分析に基づいて判断すべきもの。
そして、本誌に寄稿された専門家の皆さんが
口を揃えて言うように、例えば
「データという事実」に基づいて論じた三橋貴明氏が
「現在の日本は消費税の増税どころか、
減税、あるいは『消費税廃止』を
検討しなければならない局面である」
と断じ、
野口旭教授が経済学に基づいて
「拙速な消費増税によってその後の5年10年を無駄にする」
と主張し、さらには経済学者の飯田泰之氏が
『財政再建』の視点からすら
「消費増税は消費の減少を通じて
景況を悪化させ,本来得られたであろう
税収を失うだけではない.
景況の悪化による政権の安定性の低下は
より大きな財政の課題である社会保障改革を遅らせ,
財政危機の深刻さを増大させる」
という危機があると指摘している様に、
「このタイミング」での消費増税は
「経済」の視点からも「財政」の視点からも、
そして「実証的」にも「理論的」にも
最悪の愚策でしかないのです。
そうした「消費反対論」が、
たまたま「民衆の支持を得ているから」
というだけの理由で
「民衆の受け狙いだ!」と批判するのは、
無根拠な「誹謗中傷」であり、
単なる「濡れ衣」に過ぎないと言えるでしょう。
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【藤井聡】<拡散希望>Q&A「増税やむなし」と言われたら、こう言い返せ―10の想定問答(中編)
Q10.新聞やテレビで、学者や専門家が消費増税すべきだって言ってるけど、彼ら、嘘ついてるの?
A.はい。「真実でないこと」であるという
『別冊クライテリオン 消費増税を凍結せよ 』
に寄稿いただいた20名以上もの専門家達は、
皆、口をそろえて、
「増税派の主張は間違いだ」と、
学術的視点から指摘しています。
例えば、経済学者の岩田規久男教授は、
上記の別冊クライテリオンの中で、
「財務省と同省の政策を支持するエコノミストは、
消費税増税の経済に対する影響が軽微であるという
理由として次の3点を上げるのが常である」
と指摘した上で、
それぞれの理由が
正当化し得ないものであるということを
一つ一つ丁寧に解説しています。
同じく経済学者の浅田統一郎教授も、
別冊クライテリオンの中で、
「消費税増税の悪影響を軽視して
増税を正当化する発言が、
財務省の影響下にある
一部の経済学者や政治家等によって
なされている」
と指摘した上で、
彼らがそうした発言の根拠にしている理論
(マンデル=フレミング・モデル)が、
如何に日本経済に適用できないのかを、
厳密に論証しています。
あるいは、経済学者の松尾匡教授は、
「消費税増税推進派は、
2014年の消費税引き上げに先立ち、
引き上げても消費への影響は軽微だと
言いはっていたが、
それは本当は推進の理由としてはおかしい。
・・・『そのためにやったのだ』と
開き直らなければならない。」
と、消費増税推進派が
根本的に間違った主張を
しているに過ぎないことを、
同じく別冊クライテリオンの中で、
辛辣に批判しています。
さらには、経済学者の野口旭教授は、
「デフレは悪くないとか、
インフレは問題だとか、
ハイパー・インフレになったら
どうするとかいった
類いのものが多かった。
それは、長期デフレを招いた政策判断ミスを
糊塗して組織を守るために、
旧日銀がそのような
プロパガンダを陰に陽に流布し、
主要なメディアやエコノミストが
それにすっかり洗脳されたためである。」
と、メディア上での発言の多くが
「プロパガンダ」や「洗脳」
の帰結に過ぎないと
別冊クライテリオンの中で、
指摘しています。
このように数々の経済学者が、
「増税派」の学者やマスメディアが
「プロパガンダ」と言い得るほどの
(広辞苑の定義から言う)
「嘘」
をついているということを、
論理的に指摘しています。
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では、なぜ、
増税派の学者やマスメディアは
「嘘」をついているのでしょうか。
この点を論じた実に様々な記事が、
別冊クライテリオンには寄稿されています。
第一に、経済学者の青木泰樹教授が
「増税論に潜む経済学者の嘘」
という本誌寄稿記事の中で、
そもそも「経済“学”が想定する世界」と
「現実の世界」とを混同している
(一部の)経済学者達が、
消費増税を主張しているに過ぎない、
という議論を展開しています。
例えば、経済学がモデル分析を
容易にするために導入したに過ぎない
「予算制約式」なるものに基づいて、
「現実政府も予算制約式通りに運営されねばならない」
という倒錯した議論を展開し、
その帰結として消費増税が主張されている、
というメカニズムを紹介しています。
第二に、
別冊クライテリオンの編集長の筆者も
『「学者のウソ」が、日本を滅ぼす。』
と題した記事の中で、
消費増税を目指す財務省の
意向に沿った発言を繰り返す
「御用学者」が存在している可能性を、
客観的な事実情報に基づいて
指摘しています。
この可能性については、
高橋洋一教授が本誌座談会の中で、
そして小浜逸郎氏や、
先に紹介した経済学者の先生方も、
(上記の引用からも見て取れる様に)
言外に示唆・暗示しています。
第三に、
マスメディアの実態についての
博士論文をまとめた田中皓介助教は、
「消費増税を巡る財務省プロパガンダ」
という記事の中で、
政府内でもとりわけ巨大なパワーを誇る財務省が、
マスメディア各社に消費税を支持する論調の記事を
書かせるために
実に様々なアプローチで
陰に陽に巧みに圧力をかけている、
という様子をマスメディア研究の視点から
「学術的」に明らかにしています。
同様の構図を、
「新聞だけが軽減税率の対象となる」
という論点に基づいて、
高橋洋一氏、そして、評論家の宮崎哲弥氏も
本誌座談会の中で指摘しています。
第四に、
消費増税は「財界」の影響が強く、
その影響に引きずられる形で進んでいるという構図が、
政治学者の施光恒准教授に指摘されています。
上記の座談会でもその点は指摘されています。
以上に加えて、
消費増税が進められる
社会的、政治哲学的背景が
存在していることも、
複数の論者から指摘されています。
まず、
評論家の佐藤健志氏は、
消費増税肯定論の背後には、
「ニッポンのためには、
大衆が嫌がっても断固として、
消費増税を行い、
立派な、自立した国に
ならねばならぬのだ!」
との思い込みがあり、
どれだけ不条理を指摘しても
彼らの耳には何ら届いていない
という構図を描写しています。
さらには文芸批評家の浜崎洋介氏は、
この不条理な現象は、
日本人が「思考」しなくなったことの帰結であると、
以下のように論じています。
『二〇一九年一〇月に「予定」されている
消費増税ほどに、
日本人における根深い「弱さ」を
示し出しているものはない。
そこに見出されるのは、
刻々と変化する経済的現実に対して
プラグマティックに思考していく態度ではなく、
一度決めた目標(財政再建のための消費増税)と、
それによって醸成された
「空気」(財務省内の融和と調和)のなかで、
甘い「期待」(消費増税の影響は軽微なはずだ)
だけを頼りに、
「予定」に向かって
なし崩し的に突き進んでいく日本人の姿、
これまで何度か目にしてきた
「思考」しない日本人の姿である。』
この様に、
消費増税論に「ウソ」が潜んでいる構図は、
経済学のみならず、
政治学、行政学、社会学、社会心理学、
マスメディア論のそれぞれの観点から
様々に描写されているのです。
つまり、
先の大戦の敗戦によって作り上げられた
「戦後レジームの中」で
「思考停止」に陥った日本人達が、
最強官庁によるプロパガンダや洗脳、
圧力によって都合よく作り上げられた
メディアや御用学者達の論調に載せられる形で、
深刻な経済被害が生ずることが明らかである
「10%消費増税」が、
さながら集団自殺を行うかのように
愚かにも断行されようとしている———
という構図が、
別冊クライテリオンに寄稿された様々な学者、
評論家たちの論説から浮かび上がるわけです。
・・・・
いずれにしても、
すくなくとも筆者がみた限り、
今日の消費税推進論者の言説の中には、
まともなモノは、当方が拝見した限り、
一つもありません。
彼らはおしなべて「ウソ」をついている
(そうでなければ、騙されている)
としか言いようがありません。
ついては、身近な増税論者がいれば、
是非、今回までの三回にわたってご紹介した、
「想定問答」を活用いただきつつ、
徹底的に反論して差し上げて頂ければと思います。
日本が少しでもまともな国に近づくには、
こうした草の根的な
地道な取り組みが、
どうしても必要なのだと思います。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
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